日本は手っ取り早く競走馬を仕上げすぎではないかと感じています。パドックを見るとメンコの装着率が異様に高いのが理由。
真面目に走らせるという点で効果的であるからこそ、逆に競走馬にとってメンタルへの負荷を高めてしまう要因にもなりえる。
いまは外厩ができたことでライン作業のように馬を仕上げられる反面、厩舎にいる時間は20年前よりも短くなっていきました。
馬のことを理解するよりも手っ取り早く馬具をつけて走らせておこう。そんなサイクルの中で無理に走らせて短期的な結果を得ても長期的にはメンタルにはマイナスだと考えています。
最近は一口馬主がメジャーになり、レースに多くださないと苦情がきやすいという時代の変化もあると思います。
サラブレッドの走る気を待つ調教師は昔から少なからずいますが、どうしても出走間隔が空いてしまうので、なぜ走らせないのかということになりやすい。
最近は地方競馬からの再転入で好走する馬が増えたのは、地方の方がじっくりと馬と向き合える時間があるからではないかと感じました。
G1レースを勝つような一流馬でもレースが嫌になればパタリと走らなくなるとシーンは決して珍しいものではありません。
宝塚記念を勝つなど牡馬勝りの活躍を見せたスイープトウショウは最後は調教を拒否するようになり満足に仕上げることができなかった。
キャリアを積んで良くなる馬もいますが、どういうルーティンなら能力を発揮できるのかを厩舎が積極的に理解する姿勢が欲しいところです。
たまに短距離馬だと決めつけて走らせていたら、お試しの中距離でオープンにまで出世するということも起きています。
どのようなレース条件が良いのかデータに沿って出走させることも思わぬ凡走を避けることにつながるはずです。